SATRIアンプキットAMP-9010(K)



AMP-9010K組立記


松井 孚夫 様より


AMP-9010K完成写真

 以前、AMP-5511Kを組立てて愛用していましたが、次なるキットが発売されるのではないかと『試聴屋』のホームページを覗いていたら、この秋になって次なるアンプキット発売の予告が出、何時になるのか首を長くして待っていましたが、なかなか正式発売にならず、痺れを切らして問い合わせのメイルを入れたら、注文に応じても良いとの返事。早速オプションを選定して注文、見積が届くのももどかしいとばかり直ぐさま振込みを済ませた所、10月14日に待望の品物が到着しました。

 以下は本キットの組立記ですが、早とちりでの失敗も幾つか。然し、これからキットを組まれる方々の御参考になればと「試聴屋」の山崎マスターの要請に御応えした次第です。

[キット内容]

 オプションは以下の通りです。

○入力抵抗を大型PCN抵抗に変更
○標準ボリュームを抵抗アッテネーターAD-23にする
○電源整流ダイオードは高速ショットキーダイオード
○アルミつまみはグレー
○オーデイォ用フューズを使用
○銅ネジ、銅足、銅サポート使用
○オーデイオ用オペアンプ使用
○入力切換スイッチをセイデン製に
○金メッキテフロン単線使用のより線シールド線を使用

尚、回路に関しては以下の通りです。

○V4.3 SATRI回路(50W+50W)
○上記回路にV5.1レジンICを追加

[組立奮闘記]

1.10月15日にいよいよ組立に着手、先ずは組立説明書に則り部品のチェックもそこそこにリアパネル、フロントパネルへの部品の取付け、電源部品の取り付けを説明書に忠実に終了。
2.配線の準備に取掛りました。
 以前のAMP-5511Kの時と同様に無鉛ハンダを使用する事にしましたので、御蔵入りしていた太洋電機産業のSOLDERING STATION RX-931ASを引張り出し、入力シールド線に被覆するヒシチューブの加熱用にと石崎電機の熱風加工器PJ-208Aも埃を払って用意しましたが、これ等以外はごく一般的な工具類です。

3.さてこれからがケースの予備組立、配線へと進むのですが、この辺から持病の早とちりが頭をもたげて来て、組立説明書の写真を見るものの説明は良く読まず、後で臍を噛む結果となります。

 尚、上述のようなオプションですので、標準の組立説明書とは

* 電源一次側の引出線が黄、白以外に青、茶があって、「黄と青、白と茶を並列に接続する」との指示。

* 金メッキテフロンより線使用の場合はホット、アースの区別がつかないので、テスターで極性を確認して半田付けする。

* 2P端子付リード線はコネクタのアース側をSWのアース側になるようテスターで確認の上半田付けする。

* 入力切換スイッチはセイデン製なので添付の手書きの図の如くにする。
 と言う点が異なっていました。

4.上の特別指定をいい加減に読流し、電源一次引出線の青と茶を不用とばかり短く切り込んだり、入力スイッチの図面を勘違いで順番やら左右を逆に接続してしまった事に後で気付く結果となりました。

5.もう一つの失敗は、発光ダイオード入りSWの半田付けの際、発光ダイオードへの接続端子への半田付けに手間暇が掛かってしまい無鉛半田の融点が高いため、結果的には高熱でこの回路がオープン不良となりました。従って、仕方なくネオン内臓のSWを購入して来て代替としました。

6.以上に記した以外は、結果的には組立説明書に即した結果となり、無事終了かと思ったのですが、よくよくチェックして見ると、左右のチャンネルの基板が逆に成っていたのには驚きました。

[所要時間]
 キット到着の翌日、10月15日(土)は近在の奥山半僧坊大権現例大祭の宵祭で、大祭副委員長を仰せつかっているので、午前中しか時間がなかったのですが、組立に取り組み始めたものの、配線直前まで。16日(日)は大祭当日で一切手が付かず、17日(月)から本格的配線作業に入り、18日(火)の夕方までで、上述の勘違いやら間違いに依る不具合の修正も終りました。

 翌19日からはソースを聞き乍らのエージングに入りましたが、なんだかんだと野暮用があって、連続48時間エージングに入ったのは23日(日)、24日(月)二日間で24日が試聴準備完了と言う事になります。

 そんな訳で、組立作業着手から10日目で作業が終了し、製品の出来上りでしたが、趣味で暇にまかせて組立てると言う事になるとこんなものでしょうか。

[まとめ]
 さて、上述の失敗は以下のようにして問題解決をしました。

1.電源一次側の引出しについては白と黄の線の被覆を引出しの近くで剥がし夫々に青と茶の引出線を半田付けして対処。

2.入力SWの順番違いはリアパネルの端子の順番を下側から上側に向けて1〜4としましたが、結構この方が実際に使用する場合は使い易いと思いますが、負け惜しみに聞こえそうで些か気が引けます。

3.基板の左右逆との間違いは基板出力をスピーカー端子で左右逆に繋ぎ替える事で対処しました。

[反省]
 基本原則の最たるもので今更申上げるのも気恥ずかしいのですが、組立説明書を良く読んで十分に咀嚼してから組立に取り掛かるべきです。
 何故失敗したかと言うと、冒頭にも述べましたように、以前に初代のSATRI AMPのキットを組上げた経験があって、これが仇になったと言う事でした。
 「虚心坦懐」を旨とすべきだったと、「先に立たない」「後悔」をした次第です。

[試聴結果]
 システムの概要は、

○ スピーカーはTANNOYのEdinburgh
○ FM Tuner はAccuphaseのT-11
○ CD PlayerがAccuphaseのDP-65V
○ AC電源として信濃電気のHypersine Regulater、HSR-510を使用

 さて、出て来た音ですが、これまで愛用のAMP-5511Kを一皮も二皮も剥いたとでも表現したら良いでしょうか。このアンプは色々の半導体アンプを使用して来てももの足らず、300Bプッシュプルの真空管アンプに辿り着いたものの、もう一度半導体のアンプに戻ったらどうだろうと考えていた矢先に出くわし、キットを組上げて試聴して、かなり満足していたものでしたから大いなる驚きでした。

 試聴記事で良く目にする月並みな表現ですが、

・見通しが良い
・残響音が明確に表現される
・倍音の乗りが誠に綺麗
・位相特性の所為か、音像の定位が明確で安定している
・低音の表現も適宜な力強さがある
等と言った所でしょうか。

 しかし、これだけは言葉での表現では理解して戴くのは誠に至難の業と言う、「百読一聴にしかず」の世界ですから御容赦下さい。

[最後に]
  アンプの中の様子と外観の写真を以下に掲載します。


電源トランスと出力FETに3mm厚銅板を使用したAMP-9010K内部