トランス式パッシブプリ AT-301


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 新型トランス式パッシブプリ、メニーナス(Meninas) AT-301の登場です。

 現在のプリアンプはどれも固有の音色を持っています。できるだけ色付けのない音を求めて行くと、抵抗切換式パッシブアッテネータに行き着きます。ところが、抵抗切換式アッテネータだけでは、音に生気がない、力強さがないという問題がありました。それを補うためにバッファを追加するなどの対策が取られますが、それではまた従来のプリアンプに戻ってしまいます。電気回路を追加することはノイズの原因にもなり、また電源の質も影響してきます。

 電気回路を追加することなく、抵抗切換式アッテネータの欠点を補うもの、それがトランス式アッテネータです。

 トランス式アッテネータは、過去いくつかのメーカーから発売されましたが、現在は残っていません。その理由は、良いトランスを製造するメーカーがほとんどなくなってしまったことと、パッシブアッテネータ用として最適な音質のトランスがなかったためです。

 AT-301は、トランスの二次巻線をロータリースイッチで切り換えて音量をコントロールします。ロータリースイッチ回転時の切り替えノイズもほとんど発生せず、パッシブプリとしての機能を充分果たしています。

 入力切換スイッチ、ボリューム用スイッチにはオーディオ用高信頼性スイッチのセイデン製を採用しています。特にボリューム用には45SGタイプをベースに、支柱部にまで銅を使った特注仕様のロータリースイッチを使用しています。接点数は27ありますので、細かい音量調整が可能です。

 配線材には、これも特別仕様の純銀金メッキ線を使用しています。被覆はテフロンです。このような特殊線材を新たに作り、それを使って配線しています。純銀だけでは銀特有の音が出過ぎてしまいますが、金を入れたことで音のバランスが取れ、経年変化による銀表面の酸化も防ぐことができます。

 音質に大きく影響を与えるケースには、銅板をふんだんに使い、内部を銅で囲む構造になっています。脚部も純銅の削り出しというこだわりを見せています。このような構造のため、比較的小型のケースながらずっしりとした重量感があり、手に取ってみるとそれが良くわかります。

 つまみはアルミブロック削り出しの大型のものを使用し、マークにはトルコ石を埋め込むというこだわりを見せています。眺めるだけでも美しい製品です。

 本物の製品は内部も美しくできています。コア材、ケースともミューメタル製のトランスを銅板のバンドでケースに固定しています。写真は試作品のため金メッキしていない純銀線ですが、製品では金メッキ線が使用されますので、表面が金色に輝くケーブルになります。

 これだけ贅沢な構成のアッテネータは今までありませんでした。音質は、従来の抵抗切換式は全く違うと言っても良いほど違います。真空管アンプに近い滑らかなトーンですが、かと言ってそれ甘くなり過ぎず、トランジスタアンプのようなレンジの広いサウンドです。従来の"トランス"という言葉から受けるイメージとはだいぶ違う音です。当然ながら、抵抗固有の音は出ませんので、抵抗切換式アッテネータに対して良くない印象をお持ちの方にも安心してお使いいただける製品です。

AT-301仕様

入出力 入力4、出力1
周波数特性 10Hz〜50kHz
最大入力 5V (20Hz)
最大減衰量 -50dB(∞付)
負荷インピーダンス 10KΩ以上
重量 5.5kg
外径寸法 220(W) x 95(H) x 250(D)
標準価格 \260,400(税込)