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SATRIアンプ詳細解説

全く新しい概念から生まれたSATRI回路

 SATRI回路はバクーンプロダクツ株式会社が開発した新しい増幅回路です。

 従来の増幅回路は、トランジスタや真空管などの増幅素子の増幅度を使って、信号の増幅を行なってきました。この増幅度で増幅する方法は大きな問題を抱えています。増幅度は入力信号によって変化するので、歪を発生してしまいます。また、HiFi再生するための帯域幅も不足します。これを解決するために考え出されたのが負帰還です。

 負帰還を掛けることによって、周波数帯域を拡大し、歪を減少させることができるので、HiFiアンプの特効薬として、当然のように使われてきました。しかし、負帰還とは、出力と入力を比べた後で出力が定まります。当然、信号が増幅器を通る間に時間的な遅れが生じます。この遅れた時間の間は出力は定まらないので、負帰還を掛けることによって、トランジェント歪や時間のゆらぎが発生してしまいます。

 現在、デジタルオーディオで問題にされている時間の揺らぎ(ジッター)は、100ps(100億分の1秒)という微小な時間の揺らぎが問題にされていますが、従来の増幅器の時間の揺らぎはそれよりも桁違いに大きいのです。しかも、従来の増幅原理である、真空管やトランジスタの増幅度を使って増幅する手法は、増幅度の非直線性のために、歪と時間の揺らぎの発生が避けられないのです。

 真の高忠実度再生するためには、これらの問題を解決することが必要でした。しかし、従来の手法に頼っていたのでは、増幅素子自体が持っている欠点を克服することができません。そこで考え出されたのが、バクーンプロダクツ株式会社が開発したSATRI回路です。

2本の抵抗比で増幅する回路

 SATRI回路では、増幅素子の増幅度に頼って増幅しません、たった2本の抵抗の比によって増幅します。

 入力信号は抵抗Rによって電流に変換されます。その電流はSATRI回路から、そのまま出力されます。出力に接続された抵抗(RL)によって、出力電流が出力電圧に変換されます。SATRI回路の働きは、単に、入力された電流をそのまま出力するだけです。SATRI回路の内部においては増幅は行なわれていないのです。増幅度は、電圧を電流に変換する抵抗Rと出力された電流を電圧に変換する抵抗RLの比で表され、増幅度Aは、A=RL/Rで決まります。増幅はこのように、抵抗のみで行われますので、そこには歪の発生も、帯域の減少もありません、しかも、負帰還を掛けていないので、負帰還が原因となるトランジェント歪や時間のゆらぎがありません。

高いS/Nを実現するゲインコントロール方式

 あなたがオーディオファイルだとしたら、最近のDVDなどのハイサプリング、24ビットのオーディオ機器に関心があるでしょう。では、それらの最新の機器を購入して、手持ちのアンプでそれらの機器の性能を発揮できるでしょうか? まず、あなたのアンプのS/N比を調べてみてください。S/N比が-120dB以上であれば合格です。デジタルシステムのダイナミックレンジは、16ビットで96dB、24ビットでは144dBです。24ビットといっても今のD/Aコンバータの性能では120dBのダイナミックレンジがやっとですから、-120dBのS/Nが取れていれば、実用上は十分と言えます。

 S/Nが-120dBのアンプを持っているとして、いつもフルボリュームで聞いているでしょうか。いつもフルボリュームで聞いているならS/Nに関しては合格です。狭い部屋では無理という方は、勿論普段はボリュームを絞って聞いているはずです。でも、従来のアンプでは、ボリュームを絞った分だけS/Nは悪くなります。一般家庭で音楽を聴く場合の平均出力は約1Wといわれています。夜間ではもっと小さくなるでしょう。100Wアンプを1Wで聴くと20dBのS/Nの悪化が生じます。従来のアンプでは、出力されるノイズの量はボリュームの位置に関係なく一定なので、ボリュームを絞れば絞るほどS/Nは悪くなります。ボリュームを絞ってしまうと、S/NのS、信号が0になるのでS/Nは0になってしまいます。つまり、いくら24ビットの最新のDVDを入れてもそのダイナミックレンジを堪能することは不可能なのです。

 SATRIアンプでは、入力信号をボリュームで絞る代わりに、電流を電圧に変換する抵抗RLをボリュームにしています。そのために、アンプの増幅度をボリュームによってコントロールしますので、ボリュームを絞ってしまえば、増幅度も0になり雑音も0になります。つまり、ボリュームの位置によるS/Nの変化はごく僅かしかありません。ですから、ボリュームを絞っても音の変化はありませんので、新や、静かに音楽を聴く場合でも、24ビットのダイナミックは確保されます。

 日本にエール音響研究所というホーンスピーカーのメーカーがあります。そこでは、オール・パーメンジュールを使った巨大なホーンドライバーがあり、これにホーンを組み合わせると、優に120dBを超える能率のホーンスピーカーになります(一般のスピーカーの能率は80〜90dB程度です)。この非常に感度の高いスピーカーは従来のアンプではノイズが大きく、使えるアンプがありませんでした。これだけの能率があれば、アンプの出力は0.1Wもあれば充分な音量が出ます。そのときのS/N比は、従来のアンプでは-80dB〜-90dB程度しか取れませんでした。しかし、弊社のSATRIアンプと組み合わせることによって、ホーンに耳を付けても全く雑音が聞えないようにすることが可能となり、やっと本来のスピーカーの性能を出すことが可能になりました。

芸術という名のゆがみ

 オーディオ機器は芸術品でしょうか。日本では再生芸術という言葉がはやったこともあります。音楽をより美しく再生することは芸術だというのです。でも、演奏家もそう思っているのでしょうか?

 演奏家は、自分が演奏した演奏が、ありのままに正確に再生されることを願っています。いくら美しく聞えても、それは演奏家の意図した音とはかけ離れている場合が多いのです。バクーンプロダクツは、ただひたすらに正確に精密に再生することを心がけています。ですから、基準となる音は自分たちで録音しています。その録音した音がどれだけ正確に精密に再生できるかだけが基準なのです。

 私たちの理想の音は「無」です。アンプが介在しているという感じがなくなり、ソースの音がそのまま出ているように聞えることが理想と思っています。そこに存在するのは、演奏家が奏でる音楽だけであり、それで良いと思っています。ですから、私たちが問題にするのは音ではなく再生の精度です。いかに精密に信号を入力し出力するか、それだけが課題です。これは試聴を繰り返して音を作っていく方法ではできません。

正確さへの挑戦

 オーディオの世界では異質と思われるでしょうが、設計はコンピュータ・シミュレーションで、いかに動作点を精密に固定するかを追いかけていくだけです。音の精度とは、動作点の精度につながります。動作点を完全に固定することによってのみ、ソースに入っている情報をすべて再生することができます。

 たとえば、棒の一箇所に穴をあけ、そこに軸を通した物を想像してください。棒の片方を動かすと、軸を支点として反対側の棒の端も動きます。軸と穴がぴったりあっていれば、ほんの少しの動きでも反対側に伝わりますが、軸と穴に隙間があってガタがあると、棒を動かした動きはガタに吸収されて反対側にそのまま伝えることができません。

 棒の穴と軸を精密に加工してガタがないようにしすることによって、はじめて微小な動きを伝えることができます。これをオーディオアンプに当てはめると、軸と軸受けの穴は動作点ということになります。

 この動作点を精密に動かないようにすることによって、微小な情報も出力されるようになり、今まで聞えなかった情報がはっきり聞こえるようになります。つまり、この動作点を固定する精度を上げれば上げるほど情報量は増えることになります。従来の増幅器を動作点の観点から見ると、数本の棒をゴムで縛り付けたようなもので、これでは、微小な情報を再現するのは不可能です。

SATRIアンプは電流アンプではない

 よく、SATRIアンプは電流増幅機であると紹介されることがありますが、それは誤りです。入力信号電圧を抵抗で電流に変えてそのまま出力します。この時点では増幅は全く行われていません。ただ、出力に接続された抵抗RLが、入力抵抗Rより大きい場合、A=RL/Rの増幅作用が発生しますが、それに関してはSATRI回路は何も関与しません。ですから、増幅するのは抵抗の比であって、SATRI回路ではないわけです。

SATRI回路の歴史

 SATRI回路は最初の回路であるVersion 1から、Version 4へと成長を続け、1998年に完成したSATRI-ICによって非常に高い精度を得ることができるようになりました。SATRI回路は、入力抵抗をつけなければ、入力インピーダンス0、出力インピーダンス無限大の回路といえます。また、電流入力・電流出力回路ということもできます。

 この性質を使って1997年にSATRI-LINKを1997年に発表しました。

SATRI-LINKという優れた伝送路の出現

 SATRI-LINKは、SATRI回路の出力と入力を接続した構成です。これまで、一般のオーディオ機器の接続には電圧信号が使われていましたが、接続部分やケーブルによる影響を大きく受けていました。このため、接続用のコネクタやケーブルの種類によって、大きく音が変化することが知られていました。

 SATRI-LINKでは、SATRI回路の出力と入力を接続するだけで、(電圧伝送ではなく)電流伝送を実現することができます。電流伝送では、出力した電流は必ずもう一方の出力端に戻ってきますので、途中のコネクタやケーブルによる影響を受けません。しかも、入力インピーダンスが0ですから高域が減衰することもなく、情報の欠落も発生しないのです。

 他のメーカーにも電流伝送を使用した回路がありますが、これらの回路は負帰還を利用した回路なので、負帰還をかけたために生じる問題は解決されていません。

 SATRI-LINKを使うには、SATRI-LINK入力を持ったアンプと、SATRI-LINK出力を持った機器が必要です。

SATRI回路の未来

 当社は1999年末の段階で、1機種を除くすべてのパワーアンプにSATRI-LINK入力を搭載し、1999年のAudioExpo99において、SATRI-LINK出力を備えたD/Aコンバータとプリアンプを発表しています。2000年にはSATRI-LINK出力を持ったフォノアンプなども発表していく予定です。

 SATRI回路の応用は、パワーアンプやD/Aコンバータのみならず、放送機器や録音機器、ビデオ回路などの広い分野での応用が可能です。

 SATRI回路では、S/NのS(Signal = 信号)を大きくすることはきわめて簡単です。入力抵抗Rを小さくすることにより、容易にSを大きくすることが可能です。SATRI回路は、従来の増幅器では不可能だった大きなS/N比を確保することが可能です。デジタルオーディオ機器が24bitになりつつある現在、SATRI回路はアナログ回路の新しい可能性を示し、デジタル時代にも対応できる製品を目指します。

[SATRIアンプ概要説明]