SATRI-IC-SP V1.0登場!
2007.04.06


SATRI-IC-SP V1.0

SATRI-IC V4.3

新しいSATRI回路の進化形

 2007年5月、バクーンから新しいSATRI-ICが発売されます。名称は「SATRI-IC-SP V1.0」です。
SATRI-IC-SP V1.0は基本的に今までのSATRI-ICと互換性があります。互換性がありますので差し替えて使用できます。

 性能が大幅に上がり、歪みもV4.3の1/2にまで減っていますので、ICを交換するだけで最新のSATRIアンプの音をお楽しみいただけます。V4.3に比べ多くの回路を同じサイズの基板に組み込んだため価格は高くなりましたが、より正確にソースの信号を増幅できるようになりました。

 正式発売日はゴールデンウィーク開けの5月7日、価格は2個で\24,000(税込)です。発売に先駆けて、新SATRI-ICのご予約注文と、今お使いのSATRIアンプのIC交換のご注文の受付を開始致します。
※詳細は別途ご案内致します。

V4.3との比較

 従来のSATRI-ICと新しいSATRI-IC-SP V1.0との比較を下の表に示します。電気特性はシミュレーションの結果です。

  現行SATRI-IC 新SATRI-IC
SATRI-ICの名称
SATRI-IC V4.3
SATRI-IC-SP V1.0
SATRI-ICの型番
BPM-7110HS
BPM-7120SP
基板の層数
2層
4層
銅箔の厚さ
35μ
1、4層:110μ、2、3層:35μ
レジストの色
グリーン
ブラック
シルクの色
ホワイト
イエロー
樹脂モールド
1液エポキシ
なし
シミュレーションの結果
周波数特性(0dB)RL=10KΩ
10KHz
100KHz
位相(25度)RL=10KΩ
60KHz
90KHz
歪率(10V)
0.0028%
0.0013%
出力インピーダンス
803.1KΩ
2.157MΩ
入力インピーダンス
3.72Ω
3.68Ω
ノーマルモード・レジェクションレシオ
-47dB
-70dB
コモンモード・レジェクションレシオ
-51.8dB
-53dB



SATRI-IC-SP V1.0とは

 新しいSATRI-ICにはSATRI V9.0という回路が導入されました。これは、SATRI回路の基本となっているカレントミラー回路の精度を改善する技術です。SATRIアンプではこの部分は開発されてから今まで変更されていませんでした。この部分を改善するということは、SATRI回路全体のクオリティが底上げされるという意味を持ちます。

 SATRIアンプにおいて、カレントミラー回路は主にSATRI-IC内で使われています。そこで、SATRI-ICの中にV9.0の技術を投入して作られたのがSATRI-IC-SP V1.0です。ちなみにSPは"Super Precision"の意味です。文字通り精度を上げることができたために付けられた名誉ある名前です。

 SATRIアンプにはもう1ヶ所カレントミラー回路が使われている部分があります。SATRI-ICと後段の間にあります(PRE-7610Mk2、SCA-7511Mk2、AMP-7511M-Mk2にはありません)。この部分にもSATRI V9.0を搭載することができます。基板上に組まれたカレントミラー回路にV9.0を搭載するには手作業で取り付ける必要がありますが、SATRI-ICを新しいものに交換し、基板上のカレントミラー回路もV9.0を乗せることで、アンプ上の全てのカレントミラー回路がV9.0化され、出てくる音に大きく改善されることになります。

 もう少し詳しく言いますと、SATRI V9.0はカレントミラー回路のバイポーラトランジスタのベース電流による誤差の影響をなくす回路です。カレントミラー回路はSATRIアンプにおいては心臓部です。カレントミラー回路の精度そのものが電圧増幅段の精度になります。今まで、カレントミラーを構成する素子としてバイポーラトランジスタが使われてきましたが、ベース電流が流れるために、その分の電流誤差が生じると言う欠点がありました。この欠点をなくすには、ベース電流が不要なMOS-FETでカレントミラー回路を構成すれば良いのですが、バイポーラトランジスタに比べるとゲインが低いので他の特性が犠牲になってしまいます。そこでバイポーラトランジスタを使って特性を改善したものがSATRI V9.0です。シミュレーションで性能を測定してみると-6dB改善されます。電圧増幅段での歪も半分になることが確認できました。出力10V以下では0.01%を切ることもあり、無帰還アンプとしては大変優秀な値になっています。

 V4.3に比べ大幅に周波数特性が伸びたため、単純に交換しただけでは発振してしまう可能性も考えられます。自作で使用される場合は、機器に組み込んだ後、発振していないことを確認してお使い下さい。SATRI製品をお使いで、ICを新しいものに交換したいお客様は交換サービスをお申し込み下さい。IC取り付け後、発振がないかなど動作チェックをしてお返し致します。

気になるその音は・・・

 新SATRI-ICはまだできていませんのでICの音は聞けませんが、illusion AMP-5511Mk2のカレントミラー部にV9.0を搭載した音を試聴できましたのでご報告します。

 とにかく細かい音が滲んだり曖昧になったりせずに聞こえます。メーカーでは「通常TVとハイビジョン画面の違い」とうまい表現をしています。まさにそのような違いです。

 これに新ICを載せたらどういう音が出てくるのか、今からワクワクしています。


よくある質問

・なぜSATRI-SP V1.0を開発したのですか
 SATRI V9.0という回路が開発され、その回路をSATRI-ICに搭載するとさらに高性能なSATRI-ICができることがわかったためです。

・今までのV4.3は使えなくなりますか
 在庫がある間は販売を継続しますが、在庫がなくなった後はSATRI-SP V1.0だけになります。

・V4.3とSATRI-SP V1.0は併用できますか
 できません。どちらか一種類をお使い下さい。

・V5.1とSATRI-SP V1.0は併用できますか
 今まで通り使用できます。

・SATRI V9.0とは何ですか
 SATRIという名称は、元々IC内に組み込まれたSATRI回路の心臓部を意味していましたが、それを中心として、アンプ全体の改良へと広がっていきました。現在までに開発されたSATRI回路の意味簡単に説明します。
 V4.3 - SATRI-IC内部に組み込まれたSATRI回路の基本となる回路が詰め込まれています。
 V5.1 - V4.3のSATRI-ICに供給する定電流源です。V5.1を使わない回路ではCRDを使いますが、CRDだけでは変動があるため、より正確な動作をさせたいときにはV5.1を追加して使うことで、より正確な増幅ができるようになります。
 V6.X - 終段のバッファを安定して動作させるための回路です。V6.0〜V6.2まではAB級、V6.3は完全A級動作します。
 V7.0 - SATRIアンプ専用フローティング電源です。価格が高くなってしまうため実際に搭載された機種はAMP-5501だけです。
 V8.0 - 前段のSATRI-IC周辺部と、後段のバッファ部間の干渉を切るため、間に入れるようにした回路です。
 V9.0 - カレントミラーの動作を改善する回路です。SATRIアンプではこのカレントミラー回路が主にSATRI-IC内で使われています。SATRI-ICの後にさらにディスクリートで追加されている機種もあります。
 V9.0の技術はカレントミラー回路の動作を改善する技術です。そのため、カレントミラー回路を多用しているV4.3(SATRI-IC)に適用することで、さらに性能を上げることができます。このようにして完成したのがATRI-SP V1.0です。

・SATRI-SP V1.0はどの機種に搭載できますか
 SATRI-IC V4.3が搭載されている全ての機種に使えます。SATRI-ICが搭載されていない機種はAMP-5510Mk2とHDA-5210だけです。これ以外の機種には全て搭載できます。最も初期のAMP-5511(K)も交換できます。

・IC交換はどのようにしますか
 V4.3と完全互換なので、交換するにはSATRI-IC V4.3のハンダをはずしてICを抜き、SATRI-SP V1.0に入れ換えるだけで交換できます。ただ、SATRI-SP V1.0は性能が良くなっていて、周波数特性が大幅に伸びています。そのため、単に交換しただけでは発信を起こしてしまうアンプがあるかも知れません。原因不明で発熱が多かったり、ヒューズが飛びやすくなった場合は発信していないかどうかチェックしてください。発信が確認された場合は発信止め対策を施す必要があります。

・手持ちのSATRIアンプをSATRI-SP V1.0に交換したいのですが、ついでに他のオプションも取り付けてもらえますか
 ご希望のオプションを指定の上ご注文下さい。お見積もりをお送りしますので、明細通りで良い場合は本体をお送り下さい。

・交換を依頼した場合、元のSATRI-ICは返してもらえますか
 取り外したSATRI-ICはお返し致しますが、返却を希望されない場合はご注文時に「IC返却不要」とご指定下さい。