AMP-5514速報(1)
2006.4.29


 AMP-5514の出荷が始まりました。AMP-5514は、SATRI回路V4.3、V5.1に加え、V8とV6.3という回路を搭載した最新SATRIパワーアンプです。


AMP-5514


基本機能

 出力は15W+15Wと低めですが、90dB以上の能率があるスピーカーなら普通に鳴ります。試聴室にあるエール音響のホーンシステムではさらに能率が高いので、10Wもあれば充分駆動できています。

 入力は電圧1、2とSATRI入力1の計3系統です。ゲインコントロールは標準ではボリュームが付いています。

 電源を入れてからバイアスが安定するまで3分ほどかかるため、その間は音が歪みますが、これは、AMP-5514に搭載されたV6.3の仕様ということです。V6.3は終段のバイアスを固定させたA級駆動回路です。その前にV8という回路が追加され、前段と後段を分離し、それぞれの動作を安定化させています。

 小型アンプとしてはかなり大きな電源トランスが使われていて安心感があります(下の写真参照)。15Wの出力を出すだけならこれほど大きなトランスはいらないはずですが、常時電流を流しっぱなしにするA級駆動ということも考慮してこんなに大きなトランスを搭載したものと思われます。

 V4.3とV5.1のSATRI-ICは標準搭載され、基板上に並べて取り付けられています。V8とV6.3はIC化されず、ディスクリートで組まれています。

 室温で1時間ほど鳴らしてからヒートシンクを触ってみると温度は高めになっています。A級アンプなので、ラックの中などに入れず、風通しの良い場所に置いて使うのが良いでしょう。

 これまでのSATRIアンプにはないV8、V6.3という回路が追加された音は一体どうなのか、試聴してみました。

 素直で自然な音は変わりませんが、それに加えて音場感がとても良く出ます。今まで、スピーカーから出てきているように聞こえていた楽器の音が、その場の空間ごとスピーカーの周囲から出てきているように聞こえます。左右のスピーカーの間に展開される空間だけでなく、スピーカーの前後、スピーカーの外側にまで広がった空間が聞こえてきます。気のせいかと思い、確認のために、AMP-5512やAMP-5511Mk2に交換して同じ曲をかけると、今までのSATRIアンプの鳴り方に戻り、空間に広がっていた音が減り、左右のスピーカーユニットから音が出てきているのがわかります。V8の特徴はこの音場の広がり感、前後感が突出していることにあるようです。

 この『音空間の再現性』は、これまでのどの高級アンプでも聞いたことがないもので、音量を上げれば上げるほど音場が大きくなり、部屋の中に充満します。スピーカーから出る音がただ大きくなると感じるだけでないところがもう普通ではありません。音がはずむように鳴り出します。聞いているとだんだん楽しくなり、自然に体がリズムに乗って動き出します。中〜高域にきつさがなく、シンバルや弦はツイータからふわっと周囲の空間に溢れ出すような鳴り方なので、今までよりさらに自然な音と感じます。これはV8だけでなく、V6.3を搭載したA級駆動との相乗効果のように思います。

 標準搭載のボリュームでこれだけの音が出ますから、SATRI用抵抗アッテネータに替えれば当然さらに良い音になってしまいます。アッテネータを付けた音については長くなるので割愛しますが、標準ボリューム付きデモ機を試聴していただければどなたでもすぐわかる心地よい音です。無料で自宅試聴できますので、興味のある方はぜひメールでお申し込み下さい。タダでこの音が体験できるチャンスはなかなかありません。聞いておくだけの価値がある音です。今後はこの音がSATRIアンプの標準的な音になって行きます。

 illusion AMP-5511Mk2やAMP-5512などこれまでのSATRIアンプにもV8が搭載できることがわかっていますので、弊社のデモ機もV8搭載にグレードアップして行く予定です。また、PRE-7610、SCA-7511など小型SATRIアンプもV8搭載モデルに進化して行く予定です。

アッテネータ


AMP-5514(上)とAMP-5511Mk2(下)
AMP-5511Mk2のサイズはAMP-5512とほぼ同じですが、それと比べてもAMP-5514のサイズは一回り小さいのがわかります。

 実験的にアッテネータを取り付けようとしたところ、ケースが小さいために充分な取り付けスペースがないことがわかりました。このままではDALE巻線アッテネータ(AW-23)や、大型PCN巻線アッテネータ(AS-23)が入りません。そこで、電源部の基板を立て、アッテネータの取り付けスペースが取れるようにすると、何とかできそうです。

 そこで、アッテネータを付ける際は、電源基板を縦に取り付けるためのアルミ製L型アルミ板を用意することにしました。電源基板は放熱もしなければならないため、ただ縦にするだけではだめで、アルミ板に取り付けた状態で縦に固定する必要があります。

 AMP-5514を購入されたお客様で、アッテネータを付けて使いたい方は、メールでご相談下さい。アルミ板が出来上がりしだい、電源配置変えやアッテネータ交換サービスを行う予定です。