出川式電源
2008.08.08


出川式電源(9)


M.パワーアンプへの実装例(AMP-5513-SPの出川式電源化)

 SATRIアンプAMP-5513-SPは純A級アンプで電源も大きく、それ自体不足があるわけではありませんが、出川式電源にグレードアップしたいという依頼があり、大幅な改造を施しました。

 アンプ内のほとんどが電源です。AMP-5513は元々3電源ですが、出川式電源にグレードアップするため、電解コンデンサブロックをそれぞれ2階建てにし、メインと補助コンデンサの比を1:1で構成しました。

 出川式電源を追加するだけなら電源トランスを追加する必要はありませんが、電源部はトランスから分離することで音が良くなることは常識ですので、今回は電源トランスも追加しています。アンプ全体で見ますと、電源がほぼ2倍になっています。もうほとんど空きスペースがありません。

※画像をクリックすると拡大します。


音出しチェック、エージング中のようす。左はデモ機のAMP-5513-SP。

出川式電源搭載
(全体)


出川式電源追加トランス。写真では見えませんが、2個の追加トランスの下にオリジナルの巨大トランスがあります。 右下の黒い四角い部品が出川式モジュールです。


アンプ部を取り外して右側から見た状態。右端中央に追加の電源トランスが見えます。中央の黒いケーブルは金メッキ単線です。ヒートシンク付きのアンプ部とつながります。

追加電源トランス部の拡大写真です。


右側前部の2階建て出川電源部です。


左側から見た状態です。2階建ての出川電源用電解コンデンサブロックが壮観です。

電解コンデンサブロック部の拡大写真です。小型アンプならこの部分だけでも充分な容量です。

 パワーアンプの場合、元々の容量が大きいため、出川式電源にすると大がかりになってしまいますが、ここまで大規模な出川式電源の例は他にないと思います。

 本機には、今回の出川式電源の他に、SATRI-V10搭載、Vishay Z201抵抗交換、スピーカー出力端子のスリット加工が施されていて、オプション満載です。

 音質は言うまでもなく、現在最高の音が出ています。まだ出来たてでエージング段階ですが、小型スピーカーから大型スピーカーまで、どれをつないでもスピーカーの能力を限界まで引き出しています。CASTRONは元々歯切れの良い音ですが、さらに音の重心が下がり、すごみが出てきます。RIT HE07SE NTRは安価(\74,800/ペア)ながら、最近出た新しい設計のユニットを使っています。ツイーターはセラミックドーム、ウーハーがSEASのカーボン混合ノンプレス成型コーン型です。このスピーカーは比較的鳴らしやすいものの、通常のSATRIアンプでは柔らかさが前面に出てしまい、キレがない印象です。ところが、出川式電源、SATRI-V10搭載のAMP-5513ではしっかりドライブされ、小型スピーカーとは思えないスケール感まで出てきます。上位機種のRIT HE-153Aは16cmウーハーなのでさらに鳴りっぷりが良く、6〜10畳くらいの部屋ならメインスピーカーとして充分使えるレベルになります。出川式電源のおかげで低域の制動が良く効いているのがわかります。


鳴らし込みに使用したスピーカー
※これらは全て弊社取り扱い商品です。